Italia「職人街のランチ」

 今日はちょっと特別な一日でした。

 いつもは、朝出勤して13時まで働いて、午後は15時半からお店を開けるので、(工房兼ショップになっているので)お昼休みが2時間半あるのです。
これは日本ではちょっと考えづらいことですが、イタリアでは、大きな街や、街の中心以外は、大体15時までのお昼休みには、ほとんどのお店が閉まるのです。
 なので家が近い人は、わざわざお昼を食べに家に帰ります。これも東京ではまずあり得ないことですよね。。街の規模が小さいので可能なことなのですが。


 
そんな流れの毎日ですが、今日は、職人さんたちとお昼ご飯(Pranzoプランツォといいます)に行くという貴重な経験をしました。
 フィレンツェでは、金曜日、バッカラという塩漬けのタラを使った料理を食べる風習があるそうで、時々金曜には、同じ通りに工房を持つ職人さんたちが集まってお昼に行くのですが、それに連れて行ってもらえたのです。
 
 「今日はBaccalaの日だよ!」と朝からちょっと楽しそうにしているので、誘ってもらえてうれしい反面、おっさんたちの会話なんて分かんないだろうな〜〜〜…と思ったら、やはり…!フィオレンティーナの、それもおじさんたちの会話は、正直、半分も、わかりませんでした。。時々マエストロが「オイシい?」とか「ダイジョウブ?」とか聞いてくれたり。

 日本で考えたら、関西弁のおっさんたちの中に、外国人の女の子が1人入るようなものなのかな…
それくらい、浮いていたと思います。

 でも、地元料理はおいしいし、私は一人で外食はしないし、お昼から大好きなワインが飲めるし、意味がよくわからないにしてもみんな優しいし、ちょっと愉快な経験でした。
 マエストロが「助手を連れて来たよ」と言うとみんなふざけて喜んで。「よくやった!」「女性がいるにこしたことはない!」と。さすがイタリア人、というか、おやじです。

 食事をしているとき、客観的に見ると絵的に面白くて、ふと、ラピュタの映画の、大勢の大人の中にパズーが一人混ざってガツガツ食事をしているシーンが浮かんで、私はまるでパズーだわーと思いました。もちろん、パズー以上に浮いていたはずですが。
 
 面白いのは、彼らの間では、名前でなく『ガラス屋』とか『修理屋』とかいった職業の名前で呼び合うこと。初めての人もいるので、食べる前に紹介し合って、「あれが我らが『革職人』!と『その助手』だ!」と。名前なんて、一度も聞かれませんでした。

 お腹いっぱいなのにみんながデザートを分けてくれて、さらにほろ酔いで、私とマエストロはちょっとテンション高めで仕事に戻りました。
 みんな、「飲んじゃったしなーだるいなあ…」と言いながら、ぼつぼつ仕事に戻るのです。
日本で昼から酒飲んでたら白い目で見られますけど…どうしてでしょうね、イタリアではみんなごく普通に自然に、お昼でもワインを飲みます。誰もほとんど酔っ払わないからいいのかもしれません。イタリア人の遺伝子なのでしょうか…

一人ではあり得なかった職人さんたちとのPranzo。
ちょっと貴重な経験でした。