Italia「マエストロ」?

 今日は、とても良い天気で、まさに「Bella giornata!!(ベッラジョルナータ)」でした。
土曜日は、工房は朝だけ。イタリア人にしては、土曜日の朝まで働くなんて、けっこうすごいことだと思います。週休1、5日。
 

さて、私の工房のマエストロのジュゼッペは、50歳くらいのおじさんです。
日本語を少し話せます。
 黙っていると一見気難しそうに見えるのですが、打ち解けるととても親切で、第一に、腕の良い職人であり、素晴らしい父親でもあります。素晴らしい夫かどうかは知りませんが、きっとそうだと思います。

 イタリアは、私からすると、日本と比べて家族の結びつきがすごく強いと感じます。
 息子が家を出たあとでも、実家が近ければ、毎週末実家でご飯を食べたりするし、独身の息子の洗濯やアイロンをお母さんがするというのもめずらしくないし。。まぁ母子関係で言えばマザコンというやつですが、家族という単位もまた同じく。

 ジュゼッペも、毎日お昼に家に帰って家族で昼を食べ、夜ももちろん家で食べ、週末は家族で過ごし、バカンスには、毎年家族で山に行きます。日本では見たことないくらいの、まさに「家庭人」という感じ。
  

 私と彼の位置関係は、日本語で言えば「師匠」と「弟子」という関係になるのだと思いますが、彼はまず「マエストロ」と呼ばれるのがあまり好きでないようで、「師匠」であることよりも自分のことを「職人」だといいます。

 そして私のことを「弟子」とは呼ばず、「助手」と呼びます。それはなんだか私にとってはとても心地のよいことで、ただ堅い師弟関係ではなくまるで同僚のように扱ってくれるフランクな上下関係が、私はとても気に入っています。
 日本でいう「職人」の堅いイメージにそぐわず、ロックとかポップスとか色々音楽を聴きながら、鼻歌を歌いながら仕事をします。
「良い音楽がないと良い仕事はできないよ」と言いながら。まさに、No music, No work。
 そして時々スカイプとかFacebookをチェックしたりして小休憩を挟みつつ。

 父親のように面倒見のよいときもあれば、友達のようにふざけるときもあるけれど、作業中はもちろん、彼も私も、真剣そのもの。特に私は、かなり集中しないと作業は難しいので。。
 そんなメリハリのある関係が、日本の目上の人相手だったらむしろ難しいかも、、と思ったり。

 でも職人は、やはり内面は頑固なもの。ウマが合う人と合わない人、好きなものと嫌いなもの、というのがとてもハッキリしています。年を重ねるにつれて、それがさらに強くなってきたと言います。

 私が3年ほど前にたまたま知り合いを通じて工房を知って、通うようになって、どういうわけかウマが合ってこうして年月が経った今も再び教えてもらえて、一緒に仕事ができるということは、それはもう奇跡のようなことだと、毎日思います。

 この工房と、そしてこのマエストロとの出会いは、今までで一番ご縁を感じた出会い。
私にとってまさにとても重要なLegameです!