Italia「工房時間」

 リスボンの一人旅から帰って来てしばらく経ちますが、最近はふたたびフィレンツェにて、毎日工房の日々です!
 バカンスというものは普通終わってほしくないと感じるものだと思いますが、今回は少し違っていました。旅はすごく楽しいのですが、同時に工房が懐かしくなって、旅の後半は、また日常に戻る日を楽しみに思いながら過ごしていました。
 

 私は今まで、旅とか、一人旅が好きだと思っていたのですが、それはもしかしたら、帰る場所があって初めて思えることなのかもしれないと思いました。
旅の間も心配して連絡をくれる人たちや、帰ったら旅先であった出来事を話そうと思える人たちがいることで、私自身の旅時間が、いっそう充実したものになるというか。
初めての地で思ったのはそんなことでした。新しい気持ちになるとかではなく、もう自分の中にあるものたちが浮き彫りになるような旅でした。

 そして今のこのフィレンツェでの生活がいかに自分にとって充実しているか、工房にいる時間がいかに幸せか、さらに身にしみたので、帰って来てまたよりいっそう力を入れて仕事に励んでおります!

 ところで、今私のいる革工房は、フィレンツェの伝統工芸の技術を持つ工房で、革小物を作っています。
「革製品」といって誰もが思い浮かべるような鞄とか靴とかとは異なって、どちらかというと「革細工」という分野になります。
 イタリア語で「ポルタモネーテ」と言われるコインケースや、カードケース、メガネケースなどに加え、今私が習得中なのは、すべて革でできた箱(スカートラ/scatola)。
縫い目がいっさいないという技術を使っていて、仕上げには、革とは思えないほどにつやつやに磨き上げます。
その美しさは、初めて見たときは、一目惚れ的な衝撃でした。
 そして今回、念願の箱制作に初めて取りかかっているのですが、しかし美しい分手間のかかり方も半端ないので、箱以外の他の作業と平行して進めていくと、軽く2,3ヶ月はかかってしまいます。。今回のイタリア生活ぎりぎり…。
いつか私のが完成したら、アップしたいと思います!


<自転車で帰る家へ途中…ぜいたくな帰り道!>